本文へスキップ

マンションの法律問題は「マンションの問題」で解決

管理費請求の具体的手続4detail

支払督促

支払督促とは

 債務者の住所地の簡易裁判所に対し申立てをすることにより、滞納組合員の言い分を聞いたり証拠調べなどをしないで、形式的な要件を満たしていれば、裁判所書記官から債務者に対して金銭債務の支払いを督促する手続きです。
 支払督促の発送から2週間以内に債務者から異議申立てがあると通常訴訟が開始しますが、異議申立てがなく2週間が経過すると債権者の申出により仮執行宣言を付する手続きがなされ、それについても債務者からの異議がなく2週間が経過すれば仮執行宣言付支払督促が確定し、強制執行の申立てが可能になります。
 支払督促は、相手方の言い分を聞かずに、また裁判所に出頭することもなく強制執行まで移行できる可能性がある点で、滞納管理費等のように債務の存在が明らかな場合には有力かつ簡便な選択肢です。
 ただし、滞納組合員が所在不明で裁判所から督促書が送達できない場合は利用できません。また、申立てをする裁判所は、債務者の住所地を管轄する裁判所であるため(標準管理規約に含まれるような当事者間の合意による管轄裁判所の定めは効力が及びません)、滞納組合員が外部区分所有者であり遠隔地に居住している場合などは滞納組合員の住所地の裁判所まで出向かなければならないという負担が生じます。
 したがって、滞納組合員が所在不明の場合、遠隔地に居住している場合や、そもそも管理費等債務の存在につき争っている場合には、選択肢から除外することになりましょう。

支払督促の流れ

@ 申立てはどこにするのか
 相手方が個人(自然人)の場合には、相手方の住所または居住地を管轄する簡易裁判所に、法人の場合には、主たる事務所または営業所の所在地を管轄する簡易裁判所に申し立てます。
 したがって、マンション内に居住している者に対しては、マンションの所在地を管轄する簡易裁判所に申し立てます。それに対し、マンション外に居住している区分所有者の場合には、その者の住所地を管轄する簡易裁判所に申し立てることになります(管理規約等で訴訟等につきマンション所在地を管轄する裁判所にする旨定められていることが多いですが、支払督促の場合には、この規定があっても上記の扱いとなることに注意が必要です)。
A 申立手数料
 請求する金額によって異なります(別表参照)。申立書に収入印紙を貼って収める方法によります。
 また、相手方への送付等のための郵券も納めることになります(具体の枚数等については裁判所窓口で確認します)。 なお、弁護士等に代理人を依頼する場合には、別途弁護士費用等が発生しますが、その費用は個々の弁護士により異なるため、弁護士に事前に確認する必要があります。
B 申立書の作成
 申立てに際しては、支払督促申立書、当事者目録、請求の趣旨原因を記載した別紙、商業登記簿謄本(当事者が法人の場合)、不動産登記簿謄本、マンション管理規約の写し、委任状(弁護士に委任する場合)を用意する必要があります。 なお、管理費等の不払いの事実を証明すべき資料を添付する必要はありません。これらの支払事実は、被告側が主張立証責任を負っています。
→支払督促の申立書の書式はこちら
C 申立後の手続の流れの概要
  ア 裁判所書記官が内容を審査する
        ↓
  イ 裁判所から相手方に支払督促書の送達
        ↓
  ウ 2週間の異議申し立て期間(相手方から異議申し立てがあれば通常訴訟に移行)
        ↓
  エ 支払督促確定
        ↓
  オ 仮執行宣言の申立てをする(書式3−2)※
        ↓
  カ 裁判所から相手方に対し仮執行宣言付支払督促の送達
        ↓
  キ 送達後2週間の異議申し立て期間(相手方から異議申し立てがあれば通常訴訟に移行)
        ↓
  ク 仮執行宣言付支払督促確定
※仮執行宣言申立書の申立期間は相手方の支払督促に対する異議申立期間が終了してから30日以内です。


仮執行宣言付支払督促確定の効果

滞納者から一切の異議が出されず、仮執行宣言付支払督促が発付されこれが確定すると、執行及び消滅時効の中断に関しては確定判決と同様の効果が発生します(民事訴訟法396条)が、支払督促には既判力は生じません。仮執行宣言付支払督促の確定により、具体的には以下のよううな効果が発生します。
@執行力
 債務者の財産の差押えなどの「強制執行」が可能となります(債務名義;民事執行法22条4号)。まさに、これが支払督促利用の主な目的です。
A消滅時効中断
 支払督促申立と同時に、消滅時効が中断するという効力が発生します(民事執行法384条,147条,民法147条)。
B消滅時効期間の延長
 仮に当初は10年未満の時効期間(5年の商事時効など;商法522条)であった場合でも、仮執行宣言付支払督促の確定により、新たに進行する時効期間は「10年」とされます(民法174条の2第1項)。
C既判力(認められない)
 「既判力」だけは、確定判決とは違います。支払督促については,既判力は発生しないと解されています。

 このように、支払督促は簡易迅速に債務名義を取得可能であることや、既判力が発生しないことを考慮したら、簡易に強制執行手続に移行したい場合に有効といえるでしょう。


外観 内装1 内装2 内装3


バナースペース




管理費比較見積りサービス


【業界最大規模】マンション売却一括査定申込促進プログラム


住友不動産販売株式会社