公正証書の作成
公正証書の作成とは
訪問や督促や内容証明郵便を受けて、滞納者から支払いの同意を取り付けることが可能な場合には、この合意を単なる口約束には終わらせることなく、法的な担保を取り付けましょう。そのために、公正証書を作成することが考えられます。公正証書の作成は当事者双方が公証役場に同行し、あらかじめなされた合意内容をもとに、公証人に作成してもらいます。
滞納管理費等の支払につき、任意で合意ができた場合には、それを公正証書にし、滞納管理費等の支払方法等の合意に反した場合には強制執行されることを認める旨の内容(執行認諾文言といいます)を記載しておくと、改めて訴訟等をおこす必要がなく、その公正証書でもって強制執行手続に進むことができます。
したがって、支払につき合意ができ、公証人役場に双方が同席できる場合には、この手法を選択することが考えられます。なお、当事者間で合意はできても公正証書の作成までは困難な場合には、少なくてもその合意内容を書面にしておきます。その上で、合意内容に違反があれば(期限までに支払がないなど)、改めてその書面を証拠として、訴訟等で対応することになります。
公正証書作成の流れ
@ どこの公証役場で手続をすればよいか
当事者間が合意すればどこの公証役場でもかまいません。公証役場には双方同席する必要があるため、双方が利用しやすいところを選択するのが一般的です。
A 作成手数料
支払を合意した金額によって異なります。公証人手数料令により以下のように決められていますが、特別な計算方法やその他の手続費用もあるため、事前に公証役場に確認しておく必要があります。
※双方の依頼に基づき作成する場合
100万円以下 10,000円
100万円を超え200万円以下 14,000円
なお、弁護士等に代理人を依頼する場合には、別途弁護士費用等が発生しますが、その費用は個々の弁護士により異なるため、弁護士に事前に確認する必要があります。
B 作成依頼の際の手続
特段、申立書などの書式は必要とされません。ただし、作成してもらう文書の概略を当事者間で決めておくとともに、本人または代理人であることを証する書面を用意します(管理組合の場合は、管理規約及び現理事長が選任されていることを証する総会議事録など、管理組合法人の場合には、登記事項証明書)
C 手続の流の概要
ア 1回目
必要書類の確認
↓
公証人面談 作成してもらう文書の大略をもとに嘱託内容の説明等を行う。
とくに執行認諾文言を入れる点を確認。
イ 2回目
公正証書原本の読み聞かせ又は閲覧
↓
双方署名捺印
↓
正本1通、副本1通が交付される。正本を管理組合側が保有する(強制執行手続のため)
※公正証書の正本を債務名義として強制執行を行うためには、公正証書に執行文が付与されなければなりません。また、公正証書の正本が相手方へ送付されたことの証明としての送達証明書が必要になります。なお、執行文付与の申立てと送達証明の申請は、公証役場に行います。
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