・私法上の和解
私法上の和解とは裁判外の和解とも言われ、民法上、典型契約の一種となっている(民法695条)。この和解の要件は、紛争終結の合意、争いの存在及び互譲であるが、一旦和解契約が交わされると、その後にこの和解された結果と異なる事実が判明しても和解の効力は覆らない。これを、「和解の確定効」と言う。但し、和解の前提として争わなかった事実について錯誤があった場合(大判大正6年9月18)や和解の結果給付することになった財物に瑕疵があった場合には(最判昭和33年6月14日)、その和解契約は錯誤により無効となる。
また、和解当時予想不可能な損害が発生した場合においても、その後に発生した損害について賠償可能となる(最判昭和43年3月15日)。
・裁判上の和解
裁判上の和解とは、訴え提起前の和解(民事訴訟法275条)と訴訟上の和解(民事訴訟法89条)の二つがある。
訴え提起前の和解は、起訴前の和解ともいい、民事訴訟の対象となる法律関係に関する争いについて、当事者双方が簡易裁判所に出頭してする和解のことをいう(民事訴訟法275条)。法律実務上は即決和解ともいう。
訴訟上の和解とは、訴訟継続中に、当事者が訴訟上の請求に関して双方の主張を譲歩して、口頭弁論期日等において、権利関係に関する合意と訴訟終了についての合意をすることをいい、相互の譲歩により結ばれる。
裁判上の和解は、解決の結果が調書に記載され、確定判決と同等の効力が生じるため、債務名義として強制執行が可能となる。
なお、裁判所における調停も裁判所の関与のある和解の一種である。