管理費等の滞納を長期間放置しておくと、回収が困難になりますので、管理組合として、滞納の事実は速やかに把握しておかなければなりません。会計担当理事や、管理会 社において、毎月確認をし、滞納が判明したら速やかに督促等を行います。また、滞納が長期に及んでいる場合には、支払時期から5年経過しようとするものがないかも確認します。 管理標準指針では、「滞納の期間が3ヶ月以内に、文書等による督促を行っている。」を標準的対応としています。督促の方法に特段の制約はありません。滞納の事実を示して督促を行い、その事実を記録に残します。ただし、滞納管理費等のなかに支払時期から5年経過しようとしているものがある場合には、後述の時効の完成を防ぐという意味で、「いつ」「どのような内容の」督促をしたのかを明らかにするため、配達証明付き内容証明郵便などを活用する必要があります。
内容証明郵便による滞納管理費等の請求は、弁護士等の法曹資格者の名前で行ったり、訴訟等の提起を予告する内容を含むものであれば、滞納者に対する心理的圧迫がかかるため、回収の効果が期待されます。しかし、内容証明郵便自体は本来的にそれがいつ配達されたかということを公的に証明できるだけで、支払督促や訴訟とは異なり、債務名義となる等特段の法的効果が発生させるものではありません。
しかし、内容証明による請求には暫定的ではあれ、民法第153条で規定された催告としての効果が発生するため、管理費等請求権の消滅時効の進行を6か月間止めることができますので、訴訟等の法的手段に訴える前段として活用できます。
内容証明郵便の書き方については、縦書きの場合は「1行20字以内で1枚26行以内」、横書きの場合は「1行20文字以内で1枚26行以内」とするか「1行13文字以内で1枚40行以内」とするか「1行26文字以内で1枚20行以内」で記載する必要があります。また、句読点等も1文字としてカウントされます。
こうした決まりに則って文書を3部作成し、内容証明郵便の発送を取り扱っている郵便局に持って行くと、受付印と受付番号が付されます。そして、このうち1部が滞納者に送られ、1部は郵便局の控え、1部が控えとして管理組合さんに返還されます。なお、封筒には内容証明郵便における文面と同一の宛名及び発送人の氏名住所を記載しなければなりません。
内容証明郵便作成に関する詳細な内容は下記日本郵便のサイトでご確認下さい。
http://www.post.japanpost.jp/service/fuka_service/syomei/use.html
内容証明郵便を出す際は、配達証明をつけます。内容証明郵便だけでは、その文章が滞納者に発送されたことを証明すに過ぎません。そこで、内容証明郵便が到達したことを証明するため、「配達証明付き内容証明郵便」として出すことになります。